自転車に乗ると不妊になるの??
男性で自転車に乗る人なら、正直気になる話題ではないでしょうか?
実は自転車は乗れば乗るほど精子の量が減ることが分かっています。
しかし、適切な対策をとることで、影響を最小限に押さえながら楽しむことは可能です。
この記事では、「妊活日記」番外編と題して、専門店のスタッフに教えてもらった対策をまとめました。
とても有効な対策ですが、「1週間に250km以上乗らない」ことは守りましょう。
自転車に乗れば乗るほど精子の量が減る
社畜歴20年。
姉女房。
子供は諦めていましたが、妻の涙に、妊活を決心。
手探りの妊活を続けています。
ちなみにロードバイク歴は15年です。
自転車に乗るほど精子の量が減ることは分かっていますが、その研究の多くは、プロのアスリートを対象にしたものがほとんどで、週に2〜3回程度楽しむ私のような〝ファンライダー〟のデータは意外にも少ないようです。
最もポピュラーなのが「自転車(ロードバイク)好きの妊活カップルは要注意」で妊活フォーラム主宰のR女史が取り上げたハーバード公衆衛生大学院の研究データですね。
同学院は「精子に悪影響を及ぼす唯一の運動が自転車」と発表しています。
このほか、スペインのコルドバ大学医学部の研究チームは、トライアスロン(水泳、自転車ロードレース、長距離走の3種目を連続して行う耐久競技)に着目し、健康な15人の練習メニューと精液を分析。
15人中、正常な精子の割合は10%以下、週に300km以上のサイクリングを行う選手では4%以下だったと発表しています。
4%以下というのは、クリニックで「男性不妊」の烙印を押される数値です。
全米最大の不妊治療センター「ボストンIVFセンター」による10年調査は、あらゆる職業の2261人を観察。
週に5時間以上自転車で走っている男性は、座っている男性や他の運動をしている男性に比べて、精子の濃度が低いことがわかったと言います。
精子の数が減ったことは、患者の年齢や体重に影響されなかったことも興味深いポイントです。
自転車だけでなく、オートバイや馬など騎乗型の乗り物は、昔から不妊との関係が指摘されており、馬に関しては紀元前からとも言われています。
なぜ、自転車に乗ると精子の量が減るのか
なぜ、自転車に乗ると精子の量が減るのでしょうか?
主な原因は、精巣と直腸の間の会陰部が、サドルで圧迫されることだと考えられています。
会陰部は、神経や血管が集まっている部位なので、血流が悪くなり、精子の産生にも悪影響を与えます。
会陰部の痺れは「自転車あるある」ですが、最悪の事態の前兆です。
ハーバード公衆衛生大学院は「サドルとの摩擦や振動により、陰部の温度が上昇するため」とも分析しています。
精子は熱に弱いですから……当たり前と言えば当たり前。
また、自転車に乗っている人は、勃起不全も報告されています。
精子を守る自転車の乗り方
お待たせしました。
前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
「自転車による男性不妊」の予防策を、専門店のスタッフに尋ねました。
カラダに合ったサイズの自転車に乗る
ロードバイクは何よりも身体に合ったサイズの自転車に乗るのが一番大事です。
サドルの高さ、ハンドルの高さなどが自分のカラダに合っていれば、会陰部へのダメージは軽減します。
自転車に乗る時間・距離を調節する|初心者は無理をしない
1週間に乗る距離を250km以内にとどめることが望ましいです。
長時間走る場合は、適度に休憩を入れて無理をしないと心がけましょう。
特に初心者は、ペダリング技術や体幹の筋力が不十分なために、会陰部への余計な圧力が増えてしまう傾向にあります。
技術が上達するまでは無理をしない範囲で楽しみましょう。
ダンシングを取り入れる
圧力を減らすには、シッティングだけではなく、積極的にダンシング(立ち漕ぎ)を取り入れましょう。
サドルの形、素材にはこだわる
会陰部へのダメージの最も有効な対策は、サドルの形や素材にこだること。
ちなみに私はSMPのサドル「コンポジット」を長年愛用しています。
ホールタイプ(サドルに穴が開いているタイプ)なので、会陰部のダメージが少ないと思い込んでいましたが……研究では「効果ははっきりしない」との結論だとか。
お気に入りのサドルですが残念。
対してノーズレスサドルやショートノーズサドルは、効果的という論文が発表されているようです。
参考:Michiels M, Van der Aa F. Bicycle riding and the bedroom: can riding a bicycle cause erectile dysfunction? Urology. 2015;85(4):725-30.
ショートノーズサドル「MIMIC」が最高|精子への影響を最小限に押さえ自転車を楽しむ
ノーズレスは文字通りですが、ショートノーズは「伝統的な形状よりも短い」サドルです。
スタッフ一押しのショートノーズサドルはSPECIALIZEDの「POWER」というショートノーズサドル界では最も有名な製品……の女性用。
え!? 女性用!?
「MIMIC」という製品名のようです。
女性用として開発されたものですが、スタッ曰く「男性が使用しても問題ない……否、妊活中ならマスト」とのこと。
POWERは、ショートノーズなので、ノーズ部分に股間が圧迫されることは基本的にありません……が、深い前傾をとるときにはその限りではなく、股間に食い込むそうです。
一方、MIMICのノーズ部分は、EVAフォームという低反発クッションのような柔らかい素材になっており、10kmほど試し乗りしましたが、快適そのもの。
そして、すごく力が掛けやすいです。
なんだか、いつもより速く漕げてるような……。
ただ、3つのグレードがあるものの下位グレードでもかなり高価。
- S-WORKS…カーボンレール (¥28,600)
- EXPERT…チタンレール (¥16,500)
- COMP…クロモリレール (¥14,300)
とは言え、費用効果は大きいので、迷わず、COMPグレードを購入しました。
ちなみにPrologoの「Dimension」はPOWERにそっくりでありながら安価とあり、こちらもおすすめとか。
ノーズレスサドルなら「ISM PR1.0」 。
これも定番ですね。
まとめ:自転車に乗ることを控え、精子を守ことは合理的な妊活
自転車は不妊の原因になることが分かっており、男性が自転車に乗ることを控えることは、合理的な妊活です。
とはいえ、適切な対策をとることで、影響を最小限に押さえながら楽しむことは可能。
fa-sign-inポイント
- カラダに合ったサイズの自転車に乗る
- 自転車に乗る時間・距離を調節する
- ダンシングを取り入れる
- サドルの形、素材にはこだわる
サドルの工夫は、とりわけ有効な対策です。
ちなみに最もEDになりやすいのは運動習慣のない人という調査結果もあります。
参考:Marceau L, Kleinman K, Goldstein I, McKinlay J.Does bicycling contribute to the risk of erectile dysfunction? Results from the Massachusetts Male Aging Study (MMAS).Int J Impot Res. 2001;13(5):298-302.
カラダと相談しながら自転車を楽しみたいですね。