

不妊治療と仕事の両立がつらい。
通院のたびに職場へ気を遣い、治療の結果に落ち込みながら仕事を続ける毎日に、限界を感じていませんか?
「仕事を辞めたら治療に専念できるのでは」
「でも、収入が減るのは不安」
「辞めて後悔しないだろうか」
この記事では、不妊治療のために仕事を辞めてよかったと感じる理由と、退職前に確認しておきたいことを整理します。
妊活フォーラム編集部
妊活・不妊治療に向き合う夫婦の「仕事」「お金」「夫婦関係」「男性妊活」の悩みを、当事者目線で整理しています。医療的な判断ではなく、治療を続けるための生活上の工夫や考え方を中心に発信しています。
不妊治療のために仕事を辞めたいと思うのは、甘えではありません
不妊治療と仕事の両立は、想像以上に大きな負担があります。
通院の予定が直前まで決まらない。
採卵や移植の日程に合わせて急に休まなければならない。
職場に理由を言いづらい。
治療結果が悪かった日も、何事もなかったように働かなければならない。
このような日々が続くと、「もう仕事を辞めたい」と感じても不思議ではありません。
厚生労働省の令和5年度調査でも、不妊治療をしたことがある人のうち、不妊治療と仕事の両立ができずに仕事を辞めた人は10.9%とされています。
およそ9人に1人が、治療と仕事の両立が難しくなり、離職を経験しているということです。
つまり、あなたが感じているつらさは、決して珍しいものではありません。
不妊治療と仕事の両立がつらくなる理由
不妊治療と仕事の両立が難しいのは、単に「通院が多いから」だけではありません。
通院日が読めないこと、職場に説明しづらいこと、体調やメンタルの波があることなど、複数の負担が重なります。
急な通院が必要になる
不妊治療では、仕事の都合に合わせて治療日を決められないことが多くあります。
タイミング法や人工授精では、排卵日に合わせた通院が必要です。
体外受精や顕微授精では、卵胞の育ち方やホルモン値を見ながら、採卵日や移植日が決まります。
- 明日の朝、受診してください
- 2日後にもう一度来てください
- 採卵日がこの日に決まりました
- 移植日はこの日になりそうです
- 判定日に来院してください
このように、急な通院が必要になることがあります。
職場の予定、会議、シフト、締切に合わせて治療を進めることは簡単ではありません。
職場に言いづらい
不妊治療は、とてもプライベートなことです。
職場に伝えたくない人も多いでしょう。
けれど、通院のために何度も遅刻・早退・休暇を取る場合、何も説明しないままだと気まずくなることがあります。
- また休むの?と思われそう
- 上司に理由を聞かれたくない
- 同僚に妊活中だと知られたくない
- 男性上司には話しづらい
- 周囲に気を遣わせたくない
治療そのものの負担に加えて、職場への説明や人間関係のストレスも重なります。
治療結果に気持ちが左右される
不妊治療は、努力した分だけ必ず結果が出るものではありません。
通院を頑張っても、薬を飲んでも、注射をしても、思うような結果にならないことがあります。
判定日前は落ち着かない。
陰性だった翌日も出勤しなければならない。
生理が来た日も、普段通りに仕事をしなければならない。
職場の妊娠報告に笑顔で対応しなければならない。
こうした日々が続くと、心がすり減ってしまいます。
体調不良があっても休みにくい
不妊治療では、薬の副作用や採卵後の体調不良を感じることもあります。
お腹が張る。
体がだるい。
眠気が強い。
気分が落ち込む。
採卵後に痛みがある。
それでも、仕事があると簡単には休めません。
体調が悪いのに出勤し続けることで、さらに疲れがたまることもあります。
不妊治療のために仕事を辞めてよかったと感じる理由
不妊治療のために仕事を辞めることは、大きな決断です。
誰にとっても正解とは限りません。
しかし、実際に退職した人の中には、「辞めてよかった」と感じる人もいます。
ここでは、退職によって得られやすいメリットを整理します。
通院スケジュールに合わせやすくなる
仕事を辞めると、通院の予定を立てやすくなります。
急な受診が必要になっても、職場への連絡や有給申請に悩む必要が少なくなります。
- 朝一番の診察に行きやすい
- 採卵日や移植日に休みを調整しなくてよい
- 診察が長引いても焦りにくい
- 治療後にすぐ休める
- 夫婦で病院に行く予定を合わせやすい
不妊治療では、通院のたびに仕事の調整をすることが大きなストレスになります。
その負担が減ることで、気持ちが軽くなる人もいます。
職場への罪悪感が減る
治療のために休むたびに、職場に申し訳なさを感じていた人にとって、退職は精神的な負担を減らすきっかけになることがあります。
「また休んでしまった」
「同僚に迷惑をかけている」
「上司にどう思われているだろう」
こうした不安から一度離れられるのは、大きなメリットです。
特に、職場に不妊治療への理解がなく、休むたびに肩身の狭い思いをしていた人にとっては、退職によって心が少し落ち着く場合があります。
体を休める時間が増える
不妊治療中は、通院だけでなく、体を休める時間も必要です。
採卵後に横になる。
治療の翌日はゆっくり過ごす。
睡眠時間を確保する。
食事を整える。
散歩や軽い運動をする。
仕事をしていると、こうした時間を取るのが難しいことがあります。
退職によって、生活リズムを整えやすくなる人もいます。
夫婦で話し合う時間が増える
不妊治療では、夫婦で話し合うことがたくさんあります。
治療をどこまで続けるか。
費用をどうするか。
ステップアップするか。
仕事をどうするか。
将来の家族の形をどう考えるか。
仕事で疲れきっていると、こうした大切な話し合いを後回しにしてしまうことがあります。
退職後に時間と気持ちの余裕ができることで、夫婦で落ち着いて話せるようになる場合もあります。
治療以外の生活を整えやすくなる
退職すると、治療だけでなく生活全体を見直す時間ができます。
- 睡眠を整える
- 食事を見直す
- 通院記録を整理する
- 助成制度や保険を調べる
- ストレスを減らす習慣を作る
- 夫婦の時間を増やす
もちろん、退職したから妊娠しやすくなると断定することはできません。
ただし、通院しやすくなり、生活の負担が軽くなったと感じる人はいます。
不妊治療のために仕事を辞めて後悔しやすい理由
一方で、仕事を辞めたあとに後悔する人もいます。
退職はメリットだけではありません。
辞める前に、デメリットも冷静に確認しておきましょう。
収入が減る
もっとも大きな不安は、お金です。
不妊治療には、通院費、薬代、検査費、交通費などがかかります。
保険適用になった治療もありますが、すべての負担がなくなるわけではありません。
先進医療や自費診療、サプリメント、鍼灸、漢方などを利用する場合は、さらに費用がかかることもあります。
退職すると収入が減るため、治療費への不安が大きくなる可能性があります。
社会とのつながりが減る
仕事を辞めると、職場の人間関係や日々の役割から離れることになります。
最初はほっとしても、時間が経つにつれて孤独を感じる人もいます。
- 家にいる時間が増えて考え込んでしまう
- 治療のことばかり考えてしまう
- 社会から取り残された気持ちになる
- 友人と生活リズムが合わなくなる
- 自分だけ止まっているように感じる
仕事がつらかった一方で、仕事が気分転換や自己肯定感につながっていた人もいます。
退職後は、治療以外の居場所や時間の使い方を考えておくことが大切です。
再就職への不安が出る
退職した後、治療がいつ終わるかは分かりません。
妊娠するかもしれない。
治療が長引くかもしれない。
途中で治療を休むかもしれない。
再就職したいと思うタイミングが来るかもしれない。
その時に、ブランクが気になる人もいます。
再就職できるだろうか。
前と同じ収入に戻れるだろうか。
面接で退職理由をどう説明しよう。
年齢的に不利になるのでは。
こうした不安が出てくることもあります。
治療結果が出ない時に自分を責めやすい
仕事を辞めて治療に専念すると、「ここまでしたのだから結果を出したい」という気持ちが強くなることがあります。
そのため、治療がうまくいかなかった時に、以前よりも落ち込みが大きくなる人もいます。
「仕事まで辞めたのに」
「夫に申し訳ない」
「収入を減らしてまで頑張っているのに」
このように、自分を責めてしまうことがあります。
退職は、治療のプレッシャーを減らす場合もあれば、逆に治療への期待を強めてしまう場合もあります。
退職してよかった人・後悔しやすい人の違い
不妊治療のために仕事を辞めてよかったと感じる人と、後悔しやすい人には、いくつか違いがあります。
退職してよかったと感じやすい人
- 職場の理解がなく、休むたびに強いストレスを感じていた
- 治療のステップが進み、通院回数が増えていた
- 夫婦で家計の見通しを立てていた
- 退職後の過ごし方をある程度決めていた
- 再就職や働き方の選択肢を考えていた
- パートナーと十分に話し合っていた
- 一時的に治療へ集中する期間を決めていた
退職後の生活やお金についてある程度準備できている人は、辞めた後の不安が少なくなりやすいです。
退職後に後悔しやすい人
- 勢いで退職を決めた
- 家計の見通しを立てていなかった
- パートナーと十分に話し合っていなかった
- 退職すれば妊娠できると思い込んでいた
- 治療以外の時間の使い方を考えていなかった
- 再就職への不安を整理していなかった
- 職場の制度を確認しないまま辞めた
退職そのものが悪いわけではありません。
ただし、追い込まれた状態で急いで決めると、後から不安が大きくなることがあります。
仕事を辞める前に確認したいチェックリスト
退職を考え始めたら、すぐに退職届を出す前に、次の項目を確認してみてください。
会社の制度を確認する
まず、今の会社で使える制度がないか確認しましょう。
- 有給休暇
- 半日有給
- 時間単位有給
- フレックスタイム制度
- 在宅勤務
- 時短勤務
- 休職制度
- 不妊治療休暇
- 積立休暇
- 部署異動
厚生労働省の調査では、不妊治療を行っている従業員が受けられる支援制度等がある企業は26.5%とされています。
制度があるのに知らなかった、ということもあります。
まずは就業規則や社内ポータル、人事窓口を確認してみましょう。
上司や人事に相談できるか考える
不妊治療の詳細をすべて話す必要はありません。
ただし、働き方の調整ができる可能性があるなら、相談する価値はあります。
現在、継続的な通院が必要な治療を受けています。
急な午前休や半休が必要になる可能性があるため、勤務時間の調整について相談させてください。
業務に支障が出ないよう、分かっている予定は早めに共有します。
「不妊治療」と言いたくない場合は、「婦人科系の治療」「継続的な通院が必要な治療」と伝える方法もあります。
夫婦で家計を確認する
退職前に、夫婦でお金の話をしておくことはとても大切です。
- 毎月の生活費はいくらか
- 治療費はいくら見込むか
- 貯金は何ヶ月分あるか
- 退職後の保険や年金はどうなるか
- 失業給付の対象になるか
- いつまで治療に専念するか
- 再就職する場合のタイミング
お金の不安が大きいまま退職すると、治療に集中しにくくなることがあります。
退職後の生活費と治療費は、必ず現実的に計算しておきましょう。
退職後の過ごし方を考える
仕事を辞めると、時間ができます。
その時間をすべて治療のことだけに使うと、かえって苦しくなることがあります。
退職後は、治療以外の予定も少し入れておくと安心です。
- 散歩をする
- 料理をする
- 資格の勉強をする
- 短時間の在宅ワークを探す
- 図書館やカフェに行く
- 友人と会う
- 夫婦で出かける
- カウンセリングを受ける
治療だけが生活の中心になりすぎないように、自分を支える時間も作っておきましょう。
退職以外の選択肢もあります
退職は一つの選択肢です。
しかし、退職だけが答えではありません。
辞める前に、他の選択肢も検討してみましょう。
休職する
一定期間だけ治療に集中したい場合は、休職制度が使えるか確認してみましょう。
休職できれば、退職せずに治療へ専念する期間を作れる可能性があります。
ただし、休職中の収入や社会保険の扱いは会社によって異なります。
必ず事前に確認してください。
時短勤務にする
フルタイム勤務がつらい場合は、時短勤務を相談できることがあります。
収入は減るかもしれませんが、仕事を完全に辞めずに通院時間を確保しやすくなります。
部署異動を相談する
今の部署が忙しすぎる場合、部署異動で負担が減ることもあります。
- 残業が少ない部署
- シフトが安定している部署
- 在宅勤務しやすい部署
- 通院時間を確保しやすい部署
会社に残りたい気持ちがあるなら、異動の相談も選択肢になります。
転職する
今の会社ではどうしても両立が難しい場合、転職も選択肢です。
不妊治療を続けるために、働き方を変えることは逃げではありません。
- 年間休日120日以上
- 有給休暇が取りやすい
- フレックス勤務がある
- 在宅勤務ができる
- 残業が少ない
- 通院しやすい勤務地
- 不妊治療支援制度がある
こうした条件の職場に移ることで、退職せずに治療を続けられる可能性もあります。
退職理由はどう伝える?
実際に退職を決めた場合、退職理由をどう伝えるか悩む人も多いでしょう。
不妊治療について、会社に詳しく伝える必要はありません。
伝え方は、自分がどこまで話したいかで決めて大丈夫です。
不妊治療を伝えない場合
一身上の都合により、退職させていただきたく存じます。
これまで大変お世話になり、心より感謝しております。
退職日まで責任を持って引き継ぎを行いますので、よろしくお願いいたします。
治療に専念したいと伝える場合
継続的な通院が必要な治療に専念するため、退職を考えております。
これまで勤務時間などご配慮いただき、ありがとうございました。
ご迷惑をおかけしないよう、引き継ぎについてはしっかり対応いたします。
不妊治療と伝える場合
不妊治療を続ける中で、通院や体調管理と仕事の両立が難しくなってきました。
夫婦で話し合った結果、一定期間治療に専念するため、退職を決意しました。
在職中は大変お世話になり、感謝しております。
どの伝え方を選んでも、感謝と引き継ぎの姿勢を伝えることが大切です。
無理に詳しく説明する必要はありません。
退職後に心を守るためにできること
退職後は、治療に集中できる一方で、心が不安定になりやすい時期でもあります。
自分を追い詰めないために、次のことを意識してみてください。
治療だけを生活の中心にしすぎない
退職後に時間ができると、治療のことばかり考えてしまうことがあります。
検索し続ける。
体調の変化に敏感になる。
SNSで妊娠報告を見て落ち込む。
判定日まで何も手につかない。
このような状態が続くと、心が疲れてしまいます。
治療以外の時間も、意識して作りましょう。
小さな予定を入れる
退職後は、予定が通院だけにならないようにすることも大切です。
- 午前中に散歩する
- 週に1回カフェに行く
- 図書館に行く
- 家の片付けをする
- 料理を楽しむ
- 友人に会う
- 短時間の学習をする
小さな予定があるだけで、気持ちの支えになることがあります。
夫婦で定期的に話す
退職後は、夫婦のコミュニケーションがより大切になります。
収入のこと。
治療方針のこと。
家事分担のこと。
気持ちのこと。
今後の働き方のこと。
話しづらいことほど、ため込まずに少しずつ共有しましょう。
つらい時は相談先を持つ
不妊治療は、夫婦だけで抱え込むには重すぎることがあります。
つらい時は、カウンセラー、自治体の相談窓口、不妊治療クリニックの相談室などを利用しても大丈夫です。
不妊治療の退職に関するQ&A
A1. ありです。ただし、誰にとっても退職が正解とは限りません。通院しやすくなる一方で、収入減や孤独感、再就職への不安が出ることもあります。辞める前に、会社の制度、家計、夫婦の考えを確認しておきましょう。
A2. 必ず伝える必要はありません。「一身上の都合」「継続的な治療に専念するため」などの伝え方でも問題ありません。信頼できる上司で、今後の関係を大切にしたい場合は、不妊治療と伝える選択もあります。
A3. 仕事を辞めたから妊娠しやすくなるとは断定できません。ただし、通院しやすくなったり、心身の負担が軽くなったりする人はいます。退職は治療の結果を保証するものではなく、生活環境を整える選択肢の一つです。
A4. 家計、治療費、貯金、社会保険、年金、失業給付、再就職の見通し、会社の休職制度や時短制度を確認しましょう。特にお金の見通しは、夫婦で具体的に話し合っておくことが大切です。
A5. あります。休職、時短勤務、部署異動、在宅勤務、フレックス、時間単位有給、転職などの選択肢があります。退職を決める前に、今の会社で使える制度を確認してみましょう。
まとめ:不妊治療のために仕事を辞める前に、後悔しない準備を
不妊治療と仕事の両立は、簡単ではありません。
急な通院、職場への気遣い、治療結果への不安、体調不良、メンタルの揺れ。
それらが積み重なれば、「仕事を辞めたい」と思うのは自然なことです。
不妊治療のために仕事を辞めてよかったと感じる人もいます。
通院しやすくなった。
職場への罪悪感が減った。
体を休める時間が増えた。
夫婦で話し合う時間が増えた。
一方で、退職後に収入面や孤独感、再就職への不安を感じる人もいます。
だからこそ、退職は勢いで決めないことが大切です。
- 会社の制度を確認する
- 上司や人事に相談できるか考える
- 夫婦で家計を確認する
- 退職後の過ごし方を考える
- 休職や時短、転職も検討する
- 治療だけを生活の中心にしすぎない
退職は、逃げではありません。
でも、退職だけが唯一の答えでもありません。
あなたとパートナーが、これからも治療と生活を続けていける形を、少しずつ探していきましょう。
妊活フォーラム編集部
おまけ:年間休日110日の職場で不妊治療がしんどい方へ
年間休日が少ない職場では、不妊治療との両立が難しくなりやすいです。
休日数だけでなく、休みやすさ、フレックス、在宅勤務、有給の取りやすさも確認してみましょう。
おまけ2:不妊治療をやめたいほど疲れている方へ
仕事と治療の両立だけでなく、不妊治療そのものに疲れてしまうこともあります。
「やめたい」と思うほどつらい時は、次の記事も参考にしてください。
おまけ3:ストレスの限界サインを見逃さないでください
不妊治療と仕事の両立では、知らないうちにストレスが積み重なります。
眠れない、涙が出る、仕事に集中できないという方は、心のサインを確認してみてください。




















































































