40代の妊活を実録リポートする連載第3回。今回は「不妊の定義」について調べました。
日本最大規模の妊活イベント「こうのとりフォーラム」へ参加する……でもその前にそもそも不妊の定義とは?
インターネットで見つけた「こうのとりフォーラム」は、日本最大規模の妊活イベントだといいます。
5人のドクターの講演を柱に、妊活や不妊に関連する20を超えるブースが出展。
「“確かな情報”を仕入れることができるのでは」と新聞記者の勘のようなものが働きました。
会場は福岡市。
かなり遠い場所ですが、かつて妻が住んでいた街。
「妻が見た景色を私も見てみたい」という気持ちも背中を押しました。
泣き疲れて眠った妻の、静かな寝息を聴きながら、「こうのとりフォーラム」のホームページの案内に目を通していると、ふと疑問が浮かびました。
何度も登場する「不妊」という2文字。
そもそもこの不妊の定義とは何なんでしょうか?
不妊の定義は授かる努力を行い1年が経過しても叶わない状態……35歳以上は半年
インターネットという広大な海にあふれたカップルの悩みに触れ、「不妊」とは赤ちゃんを授かる努力を行い、一定期間が経過しても叶わない状態……だとは理解しました。
疑問は「一定期間」の定義。
インターネットに溢れる情報は少し曖昧だったので、「こうのとりフォーラム」のホームページに紹介されていた参加ドクターを手掛かりに情報を集めました。
日本の学会では少し前までは「2年」とされていましたが、世界の主流と同じ「1年」に変わったようです。
でもこれは、あくまでも目安。
不妊症と診断する期間は年齢によって変わります。
前回書いた通り、人間は妊娠しにくい動物で、もっとも妊娠しやすい20代でも1周期あたりの妊娠率は25~30%、38歳を過ぎると、ますます妊娠率が低くなり、40歳以上の妊娠率はわずか5%だといいます。
ですから最近では35歳以上の場合は「半年」と言われています。
不妊の定義はあくまでも目安「検査や治療に待つ必要はない」でも……
一方でドクターらは「不妊検査や治療に待つ必要はない。そうしているうちにもどんどん歳をとってしまう」とも言っています。
「母になれる可能性を失っていく」と泣きながらこぼした妻の言葉が重なります。
とはいえ、検査や治療には費用が必要で、不妊治療は公的保険の対象外。
二の足を踏んでしまう……というのもこの時の私の正直な気持ちでした。
人口が減り続ける日本 増え続ける不妊に悩むカップル
日本では、どのくらいのカップルが不妊なのでしょうか?
よく目にするのは「6組に1組」という数字ですが、インターネットで検索すれば「10組に1組」「7組に1組」「5組に1組」など、いろいろ出てきます。
「6組に1組」は、2010年に行われた「第14回出生動向基本調査」がもとになっているようです。
不妊の「検査や治療を受けたことがある(または現在受けている)」と答えた夫婦が全体で16.4%いました。
ですから、およそ6組に1組の計算になります。
2005年調査では13.4%で「7組に1組」、2000年調査では12.7%で「8組に1人」で増加傾向です。
ただ、この調査は「不妊の検査や治療を受けた夫婦の数」にすぎず「不妊症と診断された夫婦の割合」を示しているとは限らないということ。
実は不妊の数は誰も把握していません。
しかし、不妊に悩むカップルの割合が増えていることには違いありません。
一方で、日本の人口は減り続けています。
2060年には8674万人まで減るといいますし、将来的には6000万人まで減ることが確定しています。
平成時代に浮き彫りになった多くの課題は新時代へ持ち越されました。
不妊に悩むカップルの割合が増えていることもまた大きな課題です。
出生児数を増やさない限り、人口減少は止まりません。
『里山資本主義』の著者として有名な藻谷浩介さんは、6000万人を維持できれば、自給自足により極めて豊かな国になれるといいます。
6000万人を維持するには、まさに今、出生児数を増やすことに注力しなくてはいけません。
「こうのとりフォーラム」というイベントに特別な何かを感じました。
そしてこのイベントを産んだ福岡市へ出かけることに運命のような力を感じました。