女性は何歳まで妊娠できる? 出産のタイムリミット(限界年齢)に改めて焦りを抱く【男♂40代の不妊治療ブログ vol.7】

40代の妊活を実録リポートする連載第7回。手探りで「妊活」を始めた私たち夫婦は、日本最大規模の妊活イベント「こうのとりフォーラム」へ参加すべく福岡市を目指しました。高齢カップルでも「私たちの赤ちゃん」に出会えるヒントがあると信じて……。

高齢でも妊娠できるヒントがあると信じて参加した「こうのとりフォーラム」は妊娠・出産を望み悩む女性で溢れていた

何だ、このざわざわと毛が逆撫でされる感覚は、と訝しがり、そしてすぐに分かる。 焦りだ。
焦りが、襲ってきた。

2007年 株式会社KADOKAWA 伊坂 幸太郎 『グラスホッパー』198Pより引用

春だというのに、北風は肌を刺すようでした。
妻と肩を寄せ合って、小さな駅へ向かい、始発列車を待ちました。

私たち以外に誰もいないホームで、妻が用意してくれた握り飯を頬張り、願掛けを兼ねて、先日購入した葉酸サプリメント「マカナ」を飲みました。

 

列車に揺られて主要駅へ着くころ、街に人が流れ始めました。

新幹線に乗り替えて博多駅を目指します。

今回の旅の目的地は福岡市天神。
妻がかつて住んでいた街。

妻はうれしそうに、私の手をひき、博多駅から天神まで案内してくれました。

「日本で一番のコンパクトシティー」とは聞いていましたが、住み良いまちであろうポイントがあちらこちらに感じられました。
何よりも驚いたのが、人の優しさと女性の多さ。

そんな博多だからこそ、妊活イベント「こうのとりフォーラム」が生まれたのかもしれません。

 

そうです。
今回の目的は、こうのとりフォーラムに参加すること。

会場になった、エルガーラ大ホールは、開会前だというのに、予想をはるかに上回る大勢のカップルでにぎわっていました。

耳に流れ込んでくる会話から、私たちと同じ40代のカップルも多いことが分かりました。

不妊に悩むカップルの割合が増えている……という予備知識(にわか知識?)は持っていましたが、溢れかえる人を見て、改めて現代の日本の現実であり、課題なんだと実感しました。
同時に、同じように頑張っている同志がこんなにもたくさんいるのだと嬉しく、なんとなく孤独だった心が軽くなりました。

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不妊治療の権威が語った「目覚ましい不妊治療の進歩」と「妊娠できる限界年齢(リミット)」


会場内には、妊活や不妊に関連する企業ブースがずらりと並び、私たちを出迎えてくれました。
その数なんと20社以上。

メインステージ前には、昨年の2倍の椅子を並べたそうですが、すでに、空席を探す方が難しくなっていました。

今回で4回目のこうのとりフォーラムですが、テーマに、「よりよい情報を、あなたへ」という一文が添えられていました。
運営委員長の永山佳代さんが挨拶に立ち、「正しい知識をもっていれば、遠回りしないですむこともある」「妊活をポジティブな印象に変えたい」と強調したのが胸に響きました。

妊活は、多くの人が手探りで始めていると思います。
感じる必要のない負い目を感じ、相談する人も、助けてくれる人も簡単には見つかりません。
だからこそ、こうのとりフォーラムには、こんなにもたくさんの人が集まったのでしょう。

 

さて、こうのとりフォーラムの柱は、ドクターによる基調講演です。
最初に登壇されたのは、不妊治療の権威として知られる「蔵本ウイメンズクリニック」の蔵本武志院長。
「妊娠・出産のための基礎知識から、高度生殖医療の現状まで」と題して、高度生殖医療の最新情報を伝えてくれました。

目覚ましい不妊治療の進歩や高度生殖医療によって、これまで妊娠を望めなかったカップルでも妊娠・出産が可能になった……という話にはとても勇気付けられました。

しかし、「大きなポイントとなるのが『年齢』」だと蔵本院長。

妊娠しにくくなるターニングポイントは35歳で、「不妊治療は時間との戦い」と語気を強めました。

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分かっていたことだが、リミット(限界年齢)に焦りを抱く…高齢カップルの妊活は残された時間と可能性が少ない

妻は45歳です。

蔵本院長は、年齢ごとの妊娠率をグラフで示しました。
45歳以上の妊娠率は限りなく「0%」に近い数字でした。

隣で妻が息を飲むのが聞こえました。

「40歳ならば、1回の体外受精で4人に1人が赤ちゃんを抱ける」
「その後は1歳刻みで妊娠率が低下することを実感している」
「自らの卵子による妊娠の限界は45歳だと言われている」

ざわざわと毛が逆撫でされる感覚が襲ってきて、蔵本院長の声がどこか遠くに聞こえました。

それは、分かっていたはずの現実でした。
私たちは高齢カップルなのです。

でも、この時になって、私は、はじめて「焦り」に襲われ、一生懸命に「絶望」に気付いていないフリをしたのです。

追記

2019年から、秋のこうのとりフォーラムが開かれることになりました。

【日時】2019年11月24日(日)
【場所】都久志会館(福岡市中央区天神4-8-10)

正しい知識を、多くの人が共有する。
その先にあるのは、妊活を当たり前のことと社会が認める未来だと信じます。
全国展開を期待します。

 


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