この記事では「腸妊活」という視点で書かれた良書『腸から始める妊活のススメ』を紹介します。
著者は「カイチュウ博士」の異名で有名な東京医科歯科大学名誉教授の藤田絋一郎さん。
「赤ちゃんを授かれない」と悩んでいた私が手に取り、前向きになった一冊です。
もしも、あなたが、同じように悩んでいるのであれば、
と勇気が湧くはず。また、妊活に取り組むなら「人間らしい暮らしが大切」だと気付かされますよ。
『腸から始める妊活のススメ』の内容をギュギュッと要約|今日からできることがいっぱいある!
「赤ちゃんが欲しい」と思ったら、まず腸を鍛えよう
2018年 株式会社ワニ・プラス 藤田紘一郎『腸から始める妊活のススメ』 2頁より引用
赤ちゃんを簡単に授かれるカップルもいれば、なかなか授かれないカップルもいる。
「カイチュウ博士」として知られる藤田さんは「授かれる」「授かれない」を決めるのは、腸の力が大きいと考える。
腸には「消化(食べたものを細かく分解する)」「吸収(分解した食べものの栄養素を体内に取り込む)」「免疫(免疫細胞が、腸内細菌と協力してウイルス、細菌からカラダを守る)」「排泄(不要なものを体外に出す)」「合成(酵素、ビタミン、ホルモンを合成する)」「解毒(化学物質を分解して解毒する)」「浄血(腸内細菌が腸内腐敗を防ぎ、血液をサラサラに保つ)」という7つの役割があり、いずれも妊娠には不可欠な働き。
今、不妊治療を受けている女性の大変が、「不妊になる障害はない」と医師に診断されていると言います。子宮や卵巣、卵管に妊娠をはばむ障害は見つからないのに、妊娠にいたらない理由は何でしょうか。
医療の現場では「卵子の老化」だとされています。そして老化の原因は、加齢です。しかし、加齢はどんなときも老化の直接の原因にはなりません。卵子で説明するならば、細胞を老化させる物質が血液を介して体内をめぐり、その老化促進物質にダメージが長い期間をかけて卵子に蓄積していくことによって老化が起こるのです。
この老化物質をつくり出すのも、反対に、血液を浄化して栄養素や酵素の豊富な綺麗な流れを生み出すのも、腸なのです。そして、腸のなかで7つの役割すべての中心的働きをはたしているのが「腸内細菌」です。2018年 株式会社ワニ・プラス 藤田紘一郎『腸から始める妊活のススメ』 4頁より引用
妊娠を望らならば、さまざまな不妊治療に踏み切る前に、腸内細菌に目を向けるべき。「腸活(腸内細菌のための活動)」で授かったという例も珍しくはない。
また、母となるあなたが、良好な腸内環境を築いていることが、子供の生涯の健康を左右する。
「できない」と悩む前に、きょうからできることがいっぱいある。
生まれてくる赤ちゃんの将来まで考えた「腸妊活」の解説本。
『腸から始める妊活のススメ』の概要
タイトル | 腸から始める妊活のススメ | ||
---|---|---|---|
著者 | 藤田絋一郎 | ||
出版社 | 株式会社ワニ・プラス | ||
発売日 | 2018年4月20日 初版発行 |
『腸から始める妊活のススメ』の著者・藤田絋一郎さん
藤田絋一郎さんの略歴
1939年、旧満州生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。東京大学大学院にて寄生虫学を専攻。医学博士。テキサス大学で研究後、金沢医科大学教授、長崎大学医学部教授、東京医科歯科大学教授を経て、東京医科歯科大学名誉教授。日米医学協力会議のメンバーとして、マラリア、フィラリアなどの免疫研究の傍ら、「寄生虫体内のアレルゲンの発見」「ATLウイルスの伝染経路の解明」など多くの業績をあげ、寄生虫とアレルギーとの関連を疫学および免疫学的に研究、人畜共通感染症の研究、感染症と水の研究を続けている。1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で小泉賞を受賞。2000年、ヒトALTウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会社会文化功労賞および国際文化栄誉賞受賞を受賞。
2018年 株式会社ワニ・プラス 藤田紘一郎『腸から始める妊活のススメ』 より引用
藤田絋一郎さんの専門分野
- 寄生虫学
- 熱帯医学
- 免疫学
藤田絋一郎さんの主な受賞履歴
- 日本寄生虫学会賞
- 講談社出版文化賞
- 小泉賞
- 日本文化振興会社会文化功労賞および国際文化栄誉賞受賞
追記(2021/06/29)
藤田さんは2,021年5月14日、誤嚥(ごえん)性肺炎のため東京都内の病院でお亡くなりになりました。81歳でした。
『腸から始める妊活のススメ』の目次
本書は次のような流れで綴られています。
- 1章:腸がよければ、妊娠力も上がる
- 2章:母の腸内フローラがわが子の健康を決める
- 3章:男たちよ。ちゃんと男性力を発揮していますか?
- 4章:腸を元気にして、妊娠力を高める「食」習慣
- 5章:生活・考え方を変えれば、妊娠力も変わる
3章は男性に向けて書かれています。
藤田さんも、妊活は女性だけの力では成り立たないので、カップルで読むことを推奨しています。
30代妊活女子が読んだ感想「できることがいっぱいある」
この記事では、4章の「腸を元気にして、妊娠力を高める『食』習慣」をピックアップして感想をまとめます。
この章の主な要点は次の通り。
- ミトコンドリアエンジンと解糖エンジンのバランス
- 卵子や精子が老化しやすい理由
- 「白い糖質」が卵子を老化させる
- 腸の中に水素バーをつくる
- 「若返り剤」は野菜の中にある
- 現代人をミイラ化させる悪玉物質AGE
- AGEを発生させない食べ方
- 食物繊維が不足すると胃もたれが起こる
- 妊活に良い味噌の選び方
- 油の取り方で細胞の質が変わる
- 酒は2杯までなら妊娠力を高める
授かるカラダを作るポイントはやっぱり食事。健康を守ってくれる腸内細菌も食べたものから作られます。
飽食の時代を生きる私たちは、食品添加物で操作された食べ物を、ついつい食べてしまいます。
この章を読むだけでも、授かれないと悩む前に、できることがあると気付かされます。
妊活で大切なのは「人間らしい暮らし」。
人間らしい暮らしについて藤田さんは
と訴えています。
『腸から始める妊活のススメ』の著者・藤田絋一郎さんの他の書籍
藤田絋一郎著『腸から始める妊活のススメ』の書評まとめ
この記事では、『腸から始める妊活のススメ』を紹介しました。
「腸妊活」という視点から書かれた、少しユニークな内容ですが、とてもわかりやすく解説されています。
妊活が一般的になりつつある今、ネット上にも妊活の情報はあふれています。
ですが、まずは、妊活本を数冊持っておくのがおすすめです。
本書を数冊の中の一冊に加えてみてはいかがでしょうか?